建設現場や土木工事、災害復旧などで不可欠な排水作業。その効率と安全性を左右するのが「工事用水中ポンプ」です。
ここでは、国内ブランドで信頼性の高い鶴見ポンプを例に、現場での運用を意識した選び方を専門的に解説します。排水量や設置条件、トラブル回避まで含めた実践的な内容です。
建設現場や土木工事、災害復旧などで不可欠な排水作業。その効率と安全性を左右するのが「工事用水中ポンプ」です。
ここでは、国内ブランドで信頼性の高い鶴見ポンプを例に、現場での運用を意識した選び方を専門的に解説します。排水量や設置条件、トラブル回避まで含めた実践的な内容です。
まず最も重要なのは排水する水の性質。水質や温度、含まれる固形物のサイズによって、羽根車・軸封・モーターにかかる負荷が大きく変わります。
| 汚水用 | 清水用 | 高温水用 | |
|---|---|---|---|
| 対応水質 | 泥水、雨水 砂入り水 |
清水、雨水 | 60度前後の温水 |
| 通過径 | 30~50mm | なし~3mm | なし |
| 現場例 | 工事ピット 河川の工事 床上・下浸水現場 |
清掃用 タンクの排水 地下室からの排水 |
プラント排水 温水洗浄後の排水 |
1-1. 水質と固形物の影響
1-2. 水温の影響

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鶴見ポンプは仕様表に最大揚程と最大吐出量が明記されていますが、現場で重要なのは「実際に排水できるかどうか」です。仕様書の数値だけで判断すると失敗につながるため、配管の長さや摩擦損失、排水口の形状も含めて現場条件を数値で計算することが重要です。

◾️揚程(どれくらいの高さまで水をくみ上げられるか)
地下室やピットから汲み上げる高さを考えます。現場の排水点までの垂直距離に、配管による摩擦損失を加えて算出します。
長距離や曲がり配管が多い場合は「仕様値より20〜30%」の余裕を持たせるのが安全です。
例:地下ピット3m+配管長10mで摩擦損失2m → 必要揚程5m
地下3mまで排水するなら、揚程は最低でも3.5〜5mが目安。
◾️吐出量(1分間に排水できる量)
泥水や砂混じり水では仕様値より低下するため、詰まりの影響を見込んで10〜20%の減少を前提にします。
大規模現場では排水速度が重要で、吐出量が不足すると作業遅延や泥水の二次被害の原因となるため余裕を持った設定が安心です。
例:仕様 100L/min → 実際は 80〜90L/min
現場経験では「仕様表の吐出量 × 0.8」が泥水排水の安全設計値の目安。
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現場でポンプを長時間運転する場合、電源条件とモーター特性を確認しましょう。
100V単相は小規模現場向けで取り回しが良いいっぽう、200V三相は大規模現場で安定した高揚程・大流量に対応します。
鶴見ポンプは連続運転に強く、モーター冷却構造や軸封構造が長時間運用を前提に設計されています。
3-1. 定格電圧・相数(100V単相 / 200V三相)
100V単相は小型現場向けで家庭用コンセントが使用できますが、吐出量・揚程は控えめです。200V三相はモーター効率が高く、大規模排水や長距離配管にも向いています。

3-2. 連続運転時間(長時間運転できるか)
鶴見ポンプは現場向けに連続運転を前提としたモデルが多く、モーター冷却構造や軸封の耐久性が高いため、長時間稼働でも性能が安定します。

3-3. 過負荷保護(モーター焼損を防ぐ)
砂・泥・異物の噛み込みによる過負荷はモーター焼損の原因です。
保護装置付きモデルを選べば、過負荷発生時に自動停止し、故障リスクを大幅に低減できます。

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狭いピット、深いピット、泥水現場など、条件に応じて最適な設置方法と吸水口形状を選び、さらに現場で素早く整備できる構造かどうかが作業効率を大きく左右します。
◾️設置方法(自立型 / 吊り下げ型)
自立型は、底が平らなピットや作業スペースが限られた現場で扱いやすく、設置が非常に簡単です。
一方、吊り下げ型は深いピットや水位変動の大きい現場に最適で、安定した運転を維持できます。
◾️吸水口形状(泥水・夾雑物に強いか)
泥水や砂・小石・落葉などが混入する現場では、大口径の吸水口が必須です。
異物詰まりを起こしにくい設計は、排水停止のリスクを大幅に減らし、現場の作業中断を防ぎます。
◾️メンテナンス性(整備しやすい構造か)
羽根車や軸封(メカニカルシール)が容易に取り外せる構造は、現場での詰まり除去や点検をスムーズにします。
さらに、ケーブルの取り回しやすさ・ハンドル形状の持ちやすさも、設置と撤収を効率化する重要なポイントです。
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